第一話はこちらです
期せずして、マリーと話し合うことになってしまった彼
出会いがしらの事故みたいだな・・・・彼はそう思った
フィリピンで絶対にやってはいけないことがあると聞いた
それは女性に暴力を振るうこと
こっちがちょっとのつもりで小突いても、訴えられれば外国人の男はほぼ負ける
それと、大声で怒鳴るのはいけない
マリーとの話しあいは努めて冷静に・・・進めることを心がけた
同時に、携帯にボイスメモをしながらにした
万一後で話がこじれても、証拠を残せれば・・・というつもりだった
彼の心は、もう決まっていたのかもしれない・・・
「何であなたは、マニラに来るのに私に連絡をしなかったの?」
「日本から何回か電話したけど、マリーが電話に出なかったでしょ?」
論戦は火蓋を切ったようだ・・・彼は思った
「アパートの改修費を出してくれる?」
「NO,出せない・・・、この前言った通りだ、今の私にはお金が無い」
「じゃあ、私は夜の仕事に行くわ・・・」
「仕方ない・・・頑張ってくれ」
「私はあなたと別れたいのよ・・・・」
「何故?、アパートの購入代金はあげたし。それに俺たちは婚約したんだよね」
「だって、私はあなたのことが嫌いになったの・・・・
あなたは変わったわ・・・
いつも喧嘩して、言い争い
でも夜になればベッドで体を求めて来て・・・
あなたの目的は、体だけでしょう?
それじゃまるで、動物だわ・・・」
マリーの目は、彼を汚い生き物でも見るような光を放っていた
「俺が元の戻ったら、やり直すか?」
「いいえ・・・無理」
彼とてそこまで言われれば、黙ってはいられない
「別れるのはいいけれど、お金は返してもらうよ」
「それはフィリピンのスタイルじゃ無理ね・・・」
マリーは勝ち誇ったように言い放つ
「いいや、方法を見つけるさ」
「どうぞ・・・」
そうなのだ、この国では騙すより騙されるやつが悪い
そしてどんな訴訟を起こしてもフィリピン女より外国人が悪い・・・
裁判ですら外国人は勝てない・・・そういう国なのだ
彼とて具体策があるわけでもなく、それ以上の進展は無かった・・・
マリーからすれば、短期間である程度のまとまった金を男から引き出して、ゲームセットみたいなものか・・・
短い会話の後で、マリーたちは帰って行った・・・・
残された彼
「ゲームセットだ」彼はつぶやいてビールを飲み始めた
しかし何故か、サバサバした気持ちになっていた
楽しい数ヶ月だった・・・
彼は思い出していた、楽しかった日々の思い出を・・・・
「それでいいじゃないか」一人つぶやき、彼は缶ビールを飲み干した
終わりは、静かにしかし確実にやってきた
もっと修羅場になるかと思ったが・・・修羅場になるのは女のほうに未練がある場合が多いのかもしれない
金の切れ目が縁の切れ目・・・マリーはやはりトンボイなのだろう
男みたいま性格だと思えば、それはそれで良い終わり方だったのかもしれない・・・
翌日、朝早いニノイアキノ空港に彼の姿があった
これからタイで仕事があり、バンコクへ向かう彼、表情はすっきりしていた
離陸する飛行機の窓から、朝日を浴びたマカティーのビル郡が見えた・・・
「さよならマニラ・・・・、さよならマリー」
飛行機の窓から見える景色に、一人つぶやいて、彼は目を閉じた
楽しい思い出にしよう
マリーは可愛く綺麗だった
そんな女の子と、数ヶ月 楽しい思い出を作れた・・・
そう考えれば、マニラでも出来事が夢のような時間だったといえる
きっと、今の日本では得ることの出来ない、キラキラした時間を持てた・・・そう思える
飛行機は、いつの間にか西に進路を取って、マニラの遥か洋上をバンコクに向かっていた・・・
続く・・・
※内容はフィクションですので・・・(汗)
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