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Channel: フィリピン・マニラdeリタイアメント生活を楽しむ
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ブーゲンビリアに魅せられて(23)

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第一話はこちらです
   
連絡が取れない夜

マリーは結局電話して来なかった

翌日は、そのまま授業に行くといっていたが、TEXにも返事が無い
自宅の母親に電話すると、「さっき帰ってきて、今は自室で寝ている」という

どうせ起きたら学校に行くんだし・・・かれはマリーの家に行かなかった
夕方になれば、TEXが来る・・・そう思っていたが

そのころ、マリーと彼の生活は少しづつ変化していた
外食に出かけても、韓国料理を好むマリーに辟易としていたし、マリーは日本食を好んでは食べなかった。
かといって、コンドでマリーが作る料理は数種類だけ・・・・材料を買ってもろくに出来ないことが多い
次第にお互いの細かいところが見えてきて、不満も出てきていた

特に彼が不満に思っていたのは、マリーは何処に居るかをほとんど連絡してこないこと
彼が電話しても、出ないことが多い
「何処で何してる?」と聞けば、嫉妬深い・・・細かい・・・と五月蝿がられる

マリーも彼に不満を持っていた
付き合い始めは優しかったが、最近では家の掃除や調理のことで口うるさく、面白くなかった。夕食を外で食べるにも、マリーと彼の嗜好は違っていた。
マリーはフィリピン料理よりも洋食や韓国料理が好きだった
が、彼は韓国料理はあまり詳しくなく、いつも同じものばかり注文した
 
それに、夜に遊びに行かなくなった・・・
せっかく仕事を辞めて、自由な時間が有るのに、友人たちと一緒に踊ったりのみに行きたいが、彼は嫌がる・・・
退屈な部屋に居ることが好きだった・・・
なにより、部屋に一緒に居ても会話が無かった
趣味も、年代も、まったく違う二人の共通の話題が無かった・・・・
テレビを見ていても、タガログ語のバラエティーでは、彼に内容を説明するのも面倒だったし、説明しても理解できないことが多く、一緒に楽しめなかった。

結局、ベッドだけの関係なのかな・・・・マリーはそう感じ始めていた

しかし、彼のほうは違っていたようだ
日中はパソコンでネットをしたり、時には会社からのメールで仕事もしていた
夕食のあとは、マリーと二人でDVDを観たりして、時間をすごし、
その後は一緒にシャワー、ベッドへ・・・
充実した生活だと思っていた

その日の夜にマリーが彼のコンドに来た

それなのに、些細なことで彼とマリーは口喧嘩をした
マリーが包丁を使って缶詰を開けようとして、彼が注意した
「包丁は物を切るものだから、刃先を大事にしなさい・・」
彼にとっては、極く当たり前のことだが、マリーにとっても普通のこと・・・

「何でそんなに細かいことを言うの?」
マリーが血相変えて怒っている

彼だって黙っては居ない
「缶詰は缶きりで開けなさい」

そう、庶民層のフィリピン人は缶切りを使わない・・・
マリーは使い方を知らなかった・・
「そんなことも知らないのか?」
彼が言った一言が引き金になった・・・・

マリーが感情を爆発させた

「あなたは、変わったわ
 小さなことばかり言う
 小遣いもくれないしけちになった・・・
 あなたが優しい声を出すのは、夜だけ・・」

ひとしきり怒鳴ったところで、マリーは泣き出した
彼は「ごめんよ・・・」というが、

「貴方はそうやって私を叱って・・・そのあとで謝る・・・
 そして私を抱くのよ・・・それだけ・・・
 それってまるで 動物だよ!」

「貴方はつまらない・・・
 そう、神経質でつまらない・・・」

彼女はそう言い捨てて、部屋を出て行った

その夜、マリーは部屋に帰ってこなかったし、電話もTEXも無かった・・・
実家に電話しても、マリーは戻っていないということだった・・・

彼は途方にくれていた・・・

明日は帰国する
心の中の小さな漣が・・・彼は消すことが出来ないまま、日本に向かう・・・
 
続く・・・
 
※内容はフィクションですので・・・(汗)
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